なぜ制限?【自社株買い】

¡Hola!(オラ!) 凡庸なる投資家ラテン系BOTAです。

世界のマーケットは年内最後のFOMCに注目しておりますが、日本では再び岸田首相がやってくれました。

14日の予算委員会で立憲民主党より自社株買い制限の検討を求めた質問に対し、「大変重要なポイントでもある」という認識を示しました。

これにより、日経平均は後場に下げ幅を拡大し一時-300円を超える値下げとなりました。

ブルームバーグ通信などもこの発言を問題視しており、海外投資家の資金流出も懸念されますね。

自社株買いを制限することで市場にどんな影響があるのでしょうか。

そもそも自社株買いとはどのような理由で行われるのか、今回も簡単簡潔に調べてみました。

早速見てみましょう。

自社株買いとは

企業が自ら発行した市場にある株式を自己資金で買い取ることであります。

そもそも企業が株式を発行する理由は事業に必要な資金調達の為であります。

自社株買いは全く逆の行為ですね。

資金調達の為に発行した株式を自社で買い取っても何のメリットも無いような気もしますが、もちろんこんなメリットがあります。

自社株買いのメリット

ROE(自己資本利益率)の向上や、PER(株価収益率)の低下が期待できることから、理論上株価が上がりやすい

 

自社で買い取ることにより、本来株主に支払う予定だった配当金を節約できる

 

敵対的買収への対抗策

一般的に自社株買いは株価が上がりやすいことから、企業にとっても、投資家にとってもメリットが多いようです。

しかも、株価が上がれば株主還元が大きくなることから株主にとってもメリットがあり、三方良しと言われています。

自社株買いデメリット

資金繰りの悪化

 

自己資本比率の低下

自社株を買うための資金が必要で、手持ちの現金が減ることになり、下手をすると経営に支障をきたすこともあります。

また、資金が減る為、当然自己資本比率が低下し、市場からは財務体質が悪化していると受け取れかねません。

金庫株と消却

因みに自社株買いで買い取られた株はそのまま保有され「金庫株」となるものと「消却」されるケースに別れます。

消却となると発行済株式総数を減少することになりますので、企業が自社株買いを発表すると株価が大きく動く原因にもなっています。

なぜ自社株制限?

そもそも岸田首相はなぜこのような発言をしたのでしょうか。

発言の全文を見てみましょう。

「自社株買いについてはそれぞれの企業判断に基づいて状況に応じて判断していく問題ではありますが、私自身、多様なステークホルダーを重視して持続可能な新しい資本主義を実現していくということから考えました時に、ご指摘の点は大変重要なポイントでもあると認識を致します」

「ちょっと何言ってるか分からない」です(笑)

まあ、制限については肯定的にとらえているという文面ですね。

なぜ制限をするかはそこまで言っておりませんが、概ね次のような理由かとおもわれます。

会社支配の不公平、株取引の不公平が生じる恐れ、株主平等の原則に反する恐れ等々あげられます。

改正前の商法151条には以下の記載があります。

①自己株式の取得は, 会社財産の充実を害し, 会社債権者等利害関係者の利益を害する。

②自己株式の真価を知る取締役等が, 会社の内部情報を利用し株主・投資家の利益を害する。

③会社が自己株式取得による株価の維持工作等により, 不当な株価の相場操縦を行い, 一般投資家を欺く。

④自己株式の取得の方法・対価のいかんによっては, 株主平等等の原則に反することになる。

⑤会社支配権を維持する目的で会社理事者が他人名義で株価を取得し, その議決権を利用することは, 株主および会社債権者の利害を害する。

⑥会社が株式の買占めを行った者から, その株を会社が高値で買い取る場合には, 会社に財産的損害等を与えることになる。

⑦商法が自己株式の取得を全面的に禁止していないのは, これを是認すべき実質的理由が存することに基づく。

1994年には商法が改正され自己株式の取得が緩和されました。

その後も段階的に緩和方向に改正され今に至ります。

それまでは長らく議論されながらも、原則禁止だったようです。

詳しく調べると時間が無くなってしまうくらい実は奥の深そうな話であります。

おわりに

岸田首相はマーケットに対しては今のところよい宰相とはいえないですね。

どうも株式に対して、ネガティブとなる言動ばかりであります。

安倍元首相はそのへんうまくやっており、ニューヨークで「Buy my Abenomics」(私のアベノミクスは買いだ)とスピーチしたことを代表に、マーケットを冷やすようなことは一切やりませんでした。

岸田首相にはいい意味でマーケットを刺激するような経済政策をバンバン打ってもらいたいところですが、今のところ空回りが目立ちます。

この先何度も岸田ショックを喰らうのは本当に勘弁ですね。

 

ではこの辺で、アディオス!