マルコス家復活!【フィリピン大統領選】

¡Hola!(オラ!) 凡庸なる投資家ラテン系BOTAです。

ウクライナ戦争の影に隠れて、今後の東アジア情勢を占う上で重要な選挙が2カ国で行われました。

韓国大統領選とフィリピン大統領選であります。

韓国大統領選はユン大統領に決まりましたが、日韓関係はさほどの進展はないとは思いますが、対北朝鮮については日米に協力的な政権になることを期待したいですね。

もう一つのフィリピン大統領選は麻薬の売人などを容赦なく殺害する超強権的で有名な現職ドゥテルテ大統領の任期満了に伴う選挙であります。

なんと候補者97人も乱立する異例の選挙となりました。

元俳優のモレノ氏や元ボクシング世界王者のパッキャオ氏などが立候補しておりましたが、ドゥテルテ大統領に批判的な現職の副大統領であるロブレド氏と故マルコス元大統領の息子である上院議員のマルコス氏との一騎打ちとなりました。

結果はマルコス氏が現職副大統領のロブレド氏を破り、5月9日に当選を果たしました。

副大統領はドゥテルテ大統領の長女サラ・ドゥテルテ氏が当選し、ドゥテルテ大統領路線を継承することが鮮明になっております。

過去のフィリピン革命をリアルタイムで見た者としては、独裁者マルコス大統領の息子が当選するなんて、どうなってるのかと思ってしまいます。

例えていうなら、30年後にプーチンの息子が大統領に就任するようなものです。

名前がフェルディナンド・ロムアルデス・マルコス・ジュニアで、通称がボンボン・マルコス・ジュニアなんだそうです。

まるで「金持ちのぼんぼん」みたいで面白い通称ですね。

過去のマスコス大統領との関係上、今後の動向が注目されます。

マルコス大統領とは

マルコス大統領とイメルダ夫人

ボンボン・マルコス氏の父親であるフェルディナンド・マルコスは1965年から1986年の約20年間にわたり、フィリピンの大統領を務めていた人物であります。

経済四か年計画の着手や対米自立化推進などの成果を背景に再選を果たしますが、次第に反政府ゲリラの活動を理由に戒厳令を布告したり、政敵を逮捕するようになります。

夫人のイメルダ氏を首都圏知事に任命するなど政権の私物化を行い、不正蓄財も大統領在任中に行っていたといわれています。

政敵の一人であった上院議員ベニグノ・アキノ氏を暗殺するなど、独裁的な強権体制を強めていったようです。

私にとっては幼少期に親に買ってもらった本の中に、フィリピン、ミンダナオ島で発見された原始民族タサダイ族という部族がおり、裸で洞窟の中で生活しており、20世紀の現代でもこんな生活してる人がいるんだと、衝撃を覚えたのを記憶しています。

今では10大詐欺事件の一つといわれているのですが、実際のタサダイ族は普通の現代的な生活をしており、マルコス大統領の捏造といわれております。

エドゥサ革命

1986年に独裁者マルコス大統領を打倒すべく、暗殺されたアキノ元上院議員の元夫人である、コラソン・アキノ氏が大統領選に立候補し、投票数でマルコス大統領を上回ったものの、マルコスが開票操作し、勝利宣言したことにより、フィリピン国内だけでなく、米国からも非難されるようになります。

不正選挙に反対する国防大臣や国軍の参謀長等が決起し、100万人のこれを支持する市民がエドゥサ通りに集まりました。

これを受け、アキノ氏が大統領就任宣誓を行い、支持する群衆は大統領官邸であるマラカニアン宮殿を包囲し、ついにマルコスはイメルダ夫人と共に米軍ヘリで脱出し米国へ亡命を余儀なくされ、マルコス政権は崩壊します。

この時、マラカニアン宮殿に乱入した群衆により、イメルダ夫人の贅をつくした生活が暴露され、3000足もの靴があったとされます。

エドゥサ通りに群衆が集まったことからエドゥサ革命と呼ばれています。

当時小学4年生でしたが、エドゥサ通りを埋め尽くす群衆とヘリで脱出するマルコス氏や、イメルダ夫人の靴などは連日テレビで放送されておりました。

我々世代ではマルコス、イメルダ、アキノという名前はみんな知っているのではないでしょうか。

当時はエドゥサ革命などとは言わず、フィリピン革命と呼ばれていたと記憶しています。

あれから30年以上の時を超えて、民衆によって国を追い出された男の息子が、大統領としてフィリピンに君臨するとは不思議なものです。

マルコス氏の独裁政権の記憶のないフィリピンの若い世代の票がマルコス・ジュニアに流れたとの見方があります。

リアルタイムで当時を知るものとしては、ちょっと危うさを感じてしまいます。

おわりに

対中国の一角であるフィリピンが今後どのようなスタンスを取るのか注目されています。

マルコス氏は「ドゥテルテ政権の継承」「団結」以外は語っていなとされていますが、対外的には経済関係は中国、安全保障は米国との関係を強化するのではとの見方があります。

しかしながら、ウクライナ戦争以降、いわゆる政冷経熱はすでに通じ無くなっております。

経済関係と国家の安全保障を別々の国に託すことは到底出来ません。

近い将来フィリピンは米国か中国の2択を迫られることになるでしょう。

さて独裁者の息子、マルコスジュニアはどのような決断をするのでしょうか。

 

ではこの辺で、アディオス!