気骨を見せる北欧の小国【リトアニア】

¡Hola!(オラ!) 凡庸なる投資家ラテン系BOTAです。

五輪開会式の選手入場では、普段は「チャイニーズ・タイペイ」というわけのわからない名前で呼ばれる台湾ですが、今回はあいうえお順の「た行」での行進でした。

NHKのアナウンサーも「台湾です!」と思わず口走っていましたね。

先のG7でも台湾を明記したり、米国や日本の政治家が台湾を取り上げるなど、ひと昔の中国の顔色を伺っていた時代とは異なる様相を呈しております。

それでも世界はまだまだチャイナマネーや巨大な中国市場に魅力がある為、すり寄っていく国々が多いですが。

そんな中、北欧の小国リトアニアが急速に中国との関係を冷却させています。

先日、中国主導の中東欧16ヶ国にギリシャを加えた中国中東欧首脳会議(17+1)からリトアニアは脱退を表明し、他のEU諸国へも脱退を呼び掛けています。

さらにはリトアニアの首都ヴィリニュスに台湾の出先機関(各国の大使館相当)の設置を認めただけでなく、「台湾」の名前の使用も認めています。

これは「一つの中国」を唱える中国としては、許しがたい行為だったらしく「頭のおかしな小さな国で、地政学的な危険に満ちている」と評しています。

そして「リトアニアのような小国が、大国との関係を悪化させる行動をとるとは、度し難いことだ」とも付け加えております。

他の国々も追随しかねないことから、中国側は神経をとがらせている様子が分かりますね。

それにしても、人口約280万人の小国が世界の覇権を争っている大国と渡り合っているのは誠に痛快であります。

リトアニア外相は「次の動き」も検討しているとのことですので、まだまだ同国の動きに目が離せません。

というわけで、今回は北欧のバルト三国の一つリトアニアを取り上げてみました。

リトアニアとは

ラトビア・エストニアと共にバルト三国と呼ばれています。

住民はバルト系のリトアニア人がほとんどでリトアニア語を話します。

旧ソビエト連邦から1991年に独立し、30年が経過しております。

独立後は欧米との関係を深め、NATOやEUに立て続けに加盟しております。

緩やかな平原と森の綺麗な国土を有し、首都ヴィリニュスの街並みは世界遺産に登録されています。

ナチスに迫害されたユダヤ人たちにビザを発給して、避難民を救出したことにより「東洋のシンドラー」と呼ばれた杉原千畝がその時勤務していたのがヴィリニュスの日本総領事館であります。

苦難の歴史

過去にリトアニア大公国やポーランド・リトアニア共和国などが栄えましたが、大北方戦争などによる弱体化により、次第に近隣のドイツ帝国、ロシア帝国に圧迫されます。

その後数回に渡るポーランド分割によりロシア帝国に組み込まれてしまいます。

このロシアの支配によりロシア同化政策を受けることになります。

第一次大戦後、束の間の独立を得ますが、再び今度はソビエト連邦により強引に編入され、以後単なる一地方として扱われることになります。

スターリンの圧政下ではシベリアに追放されたり、虐殺されたリトアニア人も多かったようです。

また、この時代にロシア人の入植も推し進められました。

しかし、1980年代に入りゴルバチョフ政権のペレストロイカが始まると、ラトビア、エストニアなどとも連携し独立運動が始まります。

ソビエト連邦構成国でいち早く独立を宣言したリトアニアはゴルバチョフ政権により「血の日曜日事件」とのちに呼ばれる武力弾圧を受けます。

私もニュースで見ていた記憶がありますが、ソビエト連邦の兵士が市民に対して銃床で殴りつけていましたね。

ソビエト連邦で発生した「8月クーデター」が失敗すると、ソビエト連邦も正式に認め、ついに1991年に独立を達成することが出来ました。

リトアニア経済

ソビエト連邦支配下の産業構造が問題でしたが、西欧諸国に比べて安い労働力を背景に競争力が増し、食料、化学、木材、家具、繊維工業、石油事業が現在では同国経済の主要産業になります。

元々酪農が盛んなことから酪農大国でしたが、最近ではバイオテクノロジーやレーザーの分野で他の国より抜きん出ているそうであります。

貿易相手はEU諸国が多いですが、依然としてロシアも重要な貿易相手国となっています。

小ぶりながらも成長著しい同国ですが、課題がないわけではありません。

上昇する賃金と労働力の減少であります。

特に人口減少は少子高齢化も要因の一つですが、国内の所得格差のため、海外へ移住する人が後が絶たず人口流出が続いております。

リトアニア投資

リトアニアに投資する気は全くないのですが、興味本位で調べてみました。

まずは同国ETFは、予想どおり存在しませんでした。

同国の企業でアメリカに上場している企業も無いようですね。

まあ、ある程度予想していた結果でした。

ただ、他のバルト諸国同様、ハイテク産業の集積が進み、西欧諸国に比べてコストが安いことから、Googleなどのアメリカ企業も同国へ注目しているようです。

今後ハイテク分野で世界を驚かすリトアニア企業やリトアニア人が出てこないとも限りませんね。

まとめ

誠に小さな国が猛獣のような大国と対等に渡り合っているのも、大国ロシアに対する長い抵抗の歴史が背景にあるのでしょう。

日本の政治家も見習ってもらいたい処ですが、地政学的及び経済的にもリトアニアと日本では環境違い過ぎるので、一概にだから日本は駄目だとは言えないのですが。。。

とはいえ、今まで中国に迎合する日本の政治家が多かったので、見習えるところはリトアニアの政治家に見習ってほしい処であります。

 

ではこの辺で、viso gero !(ヴィソ ゲロ)