先富論から共同富裕論へ【中国】

¡Hola!(オラ!) 凡庸なる投資家ラテン系BOTAです。

総裁選挙一色の日本では株価が一時3万円を突破するなど、お祭りムードが漂っています。

一方お隣の中国は長年の経済成長路線から、国内の統制に舵を切り始めております。

IT、教育、イノベーション企業を標的に次々と規制強化を行っており、さらには共同富裕なる政策を打ち出しました。

共同富裕の概念は中国共産党が信奉するマルクス主義の「資本や財産をみんなで共有する平等な社会体制」への回帰のようでもありますが、今までの経済発展モデルからの転換とも取れます。

すでに投資家は中国リスクを警戒して、資金を引き上げつつあるといわれています。

先富論により、お金持ちになった中国の富裕層も、共産党政権の出方を固唾をのんでいるようです。

長らく世界経済を牽引していた世界第二位の経済大国中国はどうなってしまうのでしょうか。

先富論とは

毛沢東時代の政策を大転換させた鄧小平の改革開放路線により「先に豊かになれる者から豊かになりなさい」という先富論が唱えられました。

全文はこちらになります。

「我々の政策は、先に豊かになれる者たちを富ませ、落伍した者たちを助けること、富裕層が貧困層を援助することを一つの義務にすることである」

改革開放路線以降、中国経済は爆騰がりし、GDPで日本を抜き去り、近い将来アメリカを抜くといわれていました。

1億円以上の総資産をもつ富裕層は1165万人に上り(日本は317万人)、中間所得層も6億人を超えているようです。

鄧小平の先富論は概ね成功したといえるでしょう。

一方では格差が増大し、李克強首相が月収1000元(約1万5650円)で暮らす人々が6億人いると発言しており、未だ発展から取り残された人々が多くいます。

共産主義を標榜する政権下でこれだけの格差があるというのはなんとも皮肉なことであります。

鄧小平が唱えた「富裕層が貧困層を援助する」は未だ実行に移されてはいないようです。

共同富裕

鄧小平が唱えた先富論の行きつく先が共同富裕だったのですが、習近平がいきなりぶち上げてきました。

格差是正を錦の御旗としているようですが、本当の狙いは別なところにあるといわれています。

簡単にいうと富裕層を叩くことにより、大多数の庶民の支持を取り付け、権力基盤を固め、異例の3期目への続投を狙っているという話であります。

元々中国の富裕層は海外に資産を分散させるなどリスクヘッジをしておりますが、それでも狙われる富裕層にしてはたまったものではありません。

現在は富裕層の象徴のような芸能人やテレビ業界を標的にし、締め付けを行っているようです。

芸能人の脱税を摘発したり、テレビ番組を禁止したりとなんでもありの様相を呈しています。

習近平は「収入分配の秩序を正し、違法所得を断固取り締まる」としており、大企業や富裕層は戦々恐々としているようであります。

どうなる中国

習近平、3期目の野望の為に中国はどうなっていくのでしょうか。

中国は経済成長により、今まで人民の不満を抑えつけていたため、経済成長を止めることが出来ない国になっております。

しかし、終わりの無い経済成長はあり得ず、どこかで終わりがきます。

終わりが来たところで、人民の不満が爆発して天安門事件のようなことが起きるとも限りません。

そこで、この経済成長の終わりを共産党政権がコントロールして軟着陸させようという事なのではないでしょうか。

つまり、強権を使用し、ゆっくり成長バブルを終わらせるということであります。

こうした締め付けは多少の富裕層や大企業の海外脱出、又はマネーの流出はあるかもしれませんが、このまま貧富の差が拡大し革命が起き共産党政権が崩壊するよりは、多少経済成長が鈍化しても、政権を維持するほうを選んだということかもしれません。

一介のサラリーマンの観測に過ぎないので、どうなるかはもちろん分かりませんが、共同富裕政策により中国株はしばらく軟調が続きそうであります。

まとめ

中国共産党が毛沢東時代に先祖帰りしたような政策が続いております。

古今よりお金持ちを叩く政策は一般大衆の支持を得やすい政策であります。

中国歴代王朝の崩壊は富の分配の不均衡による不満が原因とされております。

現代の共産党王朝もそこのところをよくわかっているのでしょう。

 

ではこの辺で、アディオス!