¡Hola!(オラ!) 凡庸なる投資家ラテン系BOTAです。
中東の大国トルコで、少しでも安いパン屋に行列を作る市民の姿が記事になっていました。
新興国の雄トルコが今、大変なことになっております。
ここ最近話題になっているトルコリラ安であります。
現在も史上最安値を更新中であり、勢いが止まりません。
私はFXはやりませんが、こうなってくると逆張りでトルコリラを仕込んでおこうかというスケベ心が出てきますね。
トルコリラは高金利通貨の代表ということで、外貨預金が人気でしたが、この急落を受けて損失を抱える人も出てきてます。
トルコ経済
Next Eleven、VISTA、E7、CIVETS、LEMsなどこれから経済発展が期待される新興国グループには大体トルコが入っております。
欧州に近いため、特に最大を占める自動車と自動車部品はEU向けの7割を生産しています。
観光も盛んでコロナ前の2019年は世界で6位の年間5000万人が訪れる観光立国でもあります。
人口も8000万人を擁し、人口ピラミッドもそこまでいびつな形はしておらず、若年層も多く人口ボーナスの恩恵を受ける資格が充分にあります。
ヨーロッパに近いというのは何よりトルコ経済にとっては良いですね。
長年トルコはEUへの加盟を希望しておりましたが、未だ受け入れられていません。
西アジアに括られているとはいえ、欧州と同じ白人国家(※但し欧米では白人扱いされません)なのですが、やはりオスマン帝国の歴史とイスラム国家という異質な文化を自らの領域に組み込むことは出来ないのでしょう。
エルドアン大統領
エルドアン氏は2003年から首相を務めた後、2014年にトルコ大統領に就任します。
好調なトルコ経済を背景に支持を得ますが、政教分離の国であるトルコにあって、次第にイスラム化を推し進めて行きます。
強権的になっていくエルドアン大統領を前に、政教分離を重視する国軍が動きます。
2016年には国軍の一部がクーデターを画策しますが、未遂に終わります。
未だに軍によるクーデターが起こるというところに新興国のカントリーリスクを感じますね。
このクーデターの処置を巡っては、後にアメリカとの対立を招くことになります。
また、エルドアン大統領はシリアに侵攻したり、ナゴルノ・カラバフ紛争において同系民族のアゼルバイジャンを積極的に支援するなど、地域覇権国家として周辺に影響力を拡大しています。
トルコリラ安の原因
トルコリラの変動要因は主に4つ考えられます。
地政学リスクの高まり、欧米諸国との対立
大統領など要人の発言
金融緩和(観測の高まり)
消費者物価などの指標が市場予想を下回る場合
今回のトルコリラ安の原因を作ったのはエルドアン大統領ですので、政治が原因というところでしょう。
中央銀行や経済専門家の意見より己の意見を押し通した結果リラ安を招いたようです。
発端は2021年3月22日の中央銀行アーバル総裁の解任であります。
アーバル総裁はインフレ対策として積極的な利上げを推進し、19%まで引き上げますが、これが低金利を求めるエルドアン大統領の怒りを買い解任されます。
後任に利上げに対して批判的だったカブジュオール氏が指名されました。
エルドアン大統領からの圧力なのか、9月には最初の利下げが行われ19%から18%へ、10月は16%、11月は15%、そして12月に15%から14%へ引き下げ、これで4ヶ月連続の利下げとなりました。
利下げはひとまず中断となりましたが、トルコ中央銀行が市場の信用を失墜したため、当面はリラ安の動きは止まらないでしょう。
同大統領は金利は物価上昇のブレーキではなく、インフレを引き起こす原因になるとの持論を持っており「市民から金利の重荷を取り除く」として低金利を目指す闘いを続けると表明しています。
本来独立性を保つべく金融機関が大統領の意のままに政策金利を決定している様子が浮き彫りになっております。
おわりに
外貨預金などで高金利を謳う通貨がたくさんありますが、トルコリラはその代表格とされてきました。
現在14%ですので、確かに日本の-0.1%に比べる19%から下がったとはいえまだまだ魅力的な金利ではあります。
しかしながら、急激なリラ安はせっかくの高金利を帳消しにし、元本を大幅に減らすことになります。
過去私も南アフリカランドや、もちろんこのトルコリラの外貨を検討したことがありました。
しかし、こうした典型的な新興国リスクを目の当たりにするとやはり、高金利通貨はそれ相応のリスクを伴うことがよく分かりますね。
ではこの辺で、アディオス!